常念診療所 所長挨拶

  

2022516

常念診療所 所長

花岡正幸

常念診療所所長を務めております信州大学学術研究院医学系医学部内科学第一教室の花岡と申します。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

常念岳(標高2,857m)は、北アルプス南部の一角を占める、いわゆる常念山脈の主峰です。常念山脈は、槍・穂高連峰とほぼ並行して南北に走り、餓鬼岳から燕岳、大天井岳、そして常念岳を経て、蝶ヶ岳、霞沢岳と続きます。信州大学医学部は長野県松本市に位置しますが、松本平から西方に眺める常念山脈の中で、ひときわ目を引くのが常念岳です。深田久弥の「日本百名山」の中に、「松本付近から仰ぐすべての峰の中で、常念岳の優雅な三角形ほど、見る者に印象を与えるものはない」というウェストンの言葉が引用されています。この言葉通り、松本平の人々は四季折々の常念岳を眺め、親しんできました。

常念診療所は1986年に信州大学医学部によって開設されました。常念小屋のご厚意で、冬季小屋を診療所として使用させていただいております。開所期間は7月の海の日から8月のお盆までと、夏季の約1か月です。診療所に詰める医師、看護師は全国から公募し、ボランティアとして自由診療を行っています。医療費は健康保険の効かない自費になりますが、諸経費を考えると採算は摂れません。やや割高に感じると思いますが、どうかご容赦ください。また、ボランティアの医師、看護師は山を愛し、登山者の味方になれる方であればどなたでも結構です。ご応募、お待ちしています。

診療所の運営は信州大学医学部山岳部の学生が行っています。ボランティアの人事、医薬品・生活用品の調達/管理、広報、開所/閉所作業、診療の案内/補助など、すべて学生が担っています。開所期間中は、連日名の学生が診療所に詰め、様々なお手伝いをします。

1か月間の開所期間中、100名前後の患者さんが来院します。時間帯のピークは16時前後で、時期としては8月の上~中旬に増加します。年齢は5070歳が多く、男女差はほとんどありません。過去5年間の疾患の内訳は、多い順に、擦過/切傷、高山病、捻挫、関節痛、虫刺症、感冒となっています。一方、毎年23例の重症例があり、自力での下山が困難な場合はヘリコプターを要請します。

さて、新型コロナウィルス感染症は診療所運営にも深刻な打撃を与え、2020年は開設以降初めて開所を見送り、2021土・日曜日、そしてお盆期間に限定した開所となりました2022年もその収束が見えないため、土・日曜日、そしてお盆期間に限定した開所となります。登山者の皆様、常念小屋の皆様にはご不便をおかけしますが、どうかご理解のほど、よろしくお願いいたします。また、ボランティアで診療していただく医療従事者の皆様も、1の人数を制限した上での開所となります。ご賢察の上、引き続きご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。

プロフィール

【現職】

信州大学医学部附属病院 副病院長

信州大学学術研究院医学系医学部内科学第一教室 教授

信州大学医学部附属病院呼吸器センター センター長

信州大学医学部附属病院呼吸器・感染症・アレルギー内科 科長

【社会における活動等】

日本登山医学会 監事

日本呼吸器学会 理事 指導医・専門医

日本内科学会 評議員 指導医・専門医

日本アレルギー学会 代議員 専門医

 

日本登山医学会「高山病と関連疾患の診療ガイドライン」作成委員長

4回アジア・太平洋登山医学会/第37回日本登山医学会合同学術集会 会長